風況データについて

1.概要

  • 本システムで表示される風況情報は、気象モデルによる風況シミュレーションと人工衛星による海上風観測値に基づいています。離岸距離30㎞以内の海域についてはシミュレーション結果に基づいて約500mの空間解像度で、それ以遠については人工衛星観測値に基づいて約10kmの空間解像度で風況を表示しています。表示される風況情報は、特に断わりのない限り、1995年から2014年までの長期変動を考慮した平年値(20年平均値)です。

2.風況シミュレーション

2.1 計算条件

  • シミュレーションを行うにあたり、まず、離岸距離30km以内の沿岸海域を包含するように緯度1度×経度1度のタイルを基準にして日本全国を160の領域に分割しました。そして、分割された各々の領域に対して気象モデルWRFによるシミュレーションを行いました。このシミュレーションでは、気象庁の広域気象データを入力値として500m格子の風況データが出力されます。計算対象となった年は、近年で比較的平年値に近いと判断された2009年、2012年、2014年の3年です。

2.2 計算精度

  • WRFによるシミュレーションの精度は、NEDO北九州沖洋上風況観測タワー(高さ80m)、NEDO銚子沖洋上風況観測タワー(同80m)、能代港風況観測タワー(同50m)、及び、港湾空港技術研究所波崎海洋研究施設桟橋(ライダー観測、同87m)の4地点の観測値を用いて検証されました。その結果、北九州沖、銚子沖、能代港、波崎桟橋での風車ハブ高さにおける年平均風速の相対誤差は、それぞれ+0.3%、+1.2%、-2.9%、及び+4.5%であり、本システムの開発目標であった±5%以内を達成していることが確認されました。ただし、4地点中3地点で計算値が観測値を上回っており、平均的にはやや過大評価の傾向が見られます。

2.3 長期間風況シミュレーション

  • 前述の沿岸域を対象とした500m格子風況シミュレーションとは別に、風況の長期変動を調べるために、より広範囲な海域を対象とした長期間のWRFシミュレーションを行いました。計算対象期間は1995年から2014年の20年間で、空間解像度は10kmです。この計算値は、500m格子風況シミュレーションの対象年の選定や風況情報の平年値補正に用いられている他、後述する人工衛星観測値の高度補正にも使われています。
  • ※風況シミュレーションに関する詳しい情報はこちらをご覧ください。

3.人工衛星観測値

  • 本システムでは、日本近海全体の風況の把握を目的として、沿岸海域(離岸距離30km以内)だけでなく外洋海域までの風況データを連続的に整備しています。外洋の風況データには、欧州気象衛星開発機構が運用する極軌道気象衛星MetOp-A、B に搭載されたマイクロ波散乱計ASCATによる海上風速観測値を使用しています。1つの衛星は太陽同期準回帰軌道より同一地点を1日に2回程度、海面上10mの風速を観測しています。提供されている最も空間分解能の高い12.5kmプロダクトに対して、2.3節で述べたWRF長期間シミュレーションから得られる気温、水温、比湿によって大気安定度補正を行っています。算出された風速を日本近海の3つのブイ観測値を用いて検証した結果、年平均風速誤差が±5%以内であることが確認できました。
  • 本システムで示す外洋での風車ハブ高さの風況情報は、この大気安定度が補正された風速値を、WRF長期間シミュレーションから得られる風速鉛直プロファイルによって高度補正を行うことにより算出しています。外洋の風況は約10km格子(緯度0.100度×経度0.125度)で整備され、沿岸で整備される約500m格子(緯度0.005度×経度0.00625度)の風況データと連続的に接続されています。
  • ※人工衛星観測値についての詳細はこちらをご覧ください。

4.統計値について

  • 本システムでは、日本の日本近海内の洋上における年平均風速及び風況詳細情報を閲覧することができます。統計値の概要は以下の表の通りです。
  • 表 統計値の概要
    離岸距離 30km以内 30km以遠
    格子間隔
    (緯度×経度)
    0.00500°×0.00625° 0.100°×0.125°
    データソース 気象シミュレーション
    (WRF,空間解像度500m)
    人工衛星観測値
    (METOP-A及びMETOP-B,空間解像度12.5km)
    データ期間 2009,2012,2014年(3年間) 2010-2014年(5年間)
    高度 60,80,100,120,140m
    風況マップ 年平均風速(平年値)
    風況詳細データ 風配図,風速階級別出現頻度,ワイブル係数(),風速の季節変化,風速の経年変化,長期年平均風速標準偏差,風速の鉛直分布,べき指数
    • *1 離岸距離30~50kmの間では、離岸距離により定義される重み関数を用いて気象シミュレーションと人工衛星観測値を結合した値を用いています。
    • *2 マップ上では0.00500°×0.00625°に内挿した値を表示しています。
    • *3 高度10mの観測値を解像度10kmのWRFによる気象シミュレーションによる計算結果で高さ方向に補正した値です。
    • *4 全ての風況データは、解像度10kmのWRFによる20年間(1995年~2014年)の計算結果を用いて平年値補正を実施しています。
    • *5 離岸距離30km以内では、解像度500mの気象シミュレーションによる計算結果を、30km以遠では解像度12.5kmの人工衛星による観測値を基に作成しています。一部、離岸距離30km以遠の地点においても解像度500mの気象シミュレーションによる計算結果を基に作成している箇所があります。
  • ※各統計値の計算方法はこちらをご覧ください。

5.発電電力量計算パネルについて

  • 風車の出力曲線(パワーカーブ)を入力することで、年間発電電力量(、Annual Energy Production)と設備利用率(、Capacity Factor)を計算することができます。ここでの年間発電電力量及び設備利用率の値は、ウェイクロス(風車後方の風速の減速による損失)、送電ロス及び風車の利用可能率などの各種損失が含まれていません。
  • ※発電電力量の計算方法はこちらをご覧ください。
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